長女とぬいぐるみのタンタ4

こんにちは タイムです

 

タンタは長女と一緒にいた頃、元気な三才の男の子のようなオーラを出していました

 

可愛くて可愛くてぎゅうっと抱きしめたいようなオーラです

 

タンタはぬいぐるみで中身は綿です

 

でも、中には私と長女二人の愛情がたっぷり詰まっている

 

私はそう感じていました

 

ぬいぐるみなので話すとか動くという事はありませんが

 

打てば響くような感じはあったのです

 

でも、押し入れに入ってからは変わってしまいました

 

暗い押し入れの中で他のぬいぐるみ達と一緒にいて安心して眠っている

 

「まるで冬眠しているようだ」私はそう思ったのです

 

タンタは深い眠りの中にいて以前のような打てば響く感じは

 

ありませんでした

 

そして数年が過ぎました

 

私は長女、次女二人が嫁ぎ空いた二部屋の整理を始める事にしました

 

押し入れを開けタンタをどうしよう そう悩んでい頃

 

葬儀社から会員当てに人形供養の案内が来たのです

 

私は長女と相談しタンタを人形供養に出す事にしました

 

人形供養当日、私は葬儀社に向かう為タンタを紙バックに入れて行く事

 

にしました

 

深い眠りの中にいて反応のないタンタ 

 

もうあの頃のタンタではない

 

でも私は「タンタ行こうか」そう話しかけながらそっと持ち上げたのです

 

その時、今まで眠っていたタンタがパチリと目を覚ましました

 

そして私を真っ直ぐ見て

 

「お母ちゃん(長女)はもうタンタがいなくても大丈夫なの?」

 

そう聞いてきたのです

 

私は何か罪悪感のようなものがあり答える事ができませんでした

 

それから私は車の助手席にタンタを入れた紙バックを乗せ

 

葬儀社に向かいました

 

葬儀社は車で10分ほどの所にありいくつかの信号があります

 

最後の信号で止まった時、タンタが入った紙バックがスッと下に落ちました

 

えっと思って紙バックを見るとタンタがにっこりとこちらを見ていました

 

「ありがとう さようなら」 タンタはそう言っているように見えました

 

その時初めて私はタンタにお礼を言う事が出来たのです

 

「タンタありがとう ありがとう」

 

誰もいない車の中、私はいつの間にか大きな声で叫んでいました

 

 

人形供養が終わった後、私は長女に報告しました

 

長女は忙しい仕事中にも関わらずすぐ返事をくれました

 

私は「タンタがありがとう さようならって言ってたよ」

 

「お母ちゃんはもうタンタがいなくても大丈夫なの?って言ってたよ」と

 

タンタが言った言葉を伝えるました

 

タンタは長女が大好きだったのです

 

長女から「タンタ ありがとう」というLINEが何度も届き

 

その気持ちはきっとタンタに届いたと思います

 

 

長女は辛く苦しかった10代の頃の記憶があまり無いのです

 

あまりに辛すぎてもう思い出したくない

 

思い出せない 心に封印してしまっているようでした

 

でもタンタの事は覚えています

 

タンタがずっとそばにいてくれたから頑張る事が出来たのです

 

 

辛かった時の記憶あまりなくてもあの修羅場をくぐり抜けた

 

自分の力で克服した その自信は長女のものです

 

長女は今も忙しい

 

でも あの辛さに打ち勝ったのです

 

きっと何でもできる 私はそう思っています